不登校のお子さんとご家族へ ことば・コミュニケーションの支援から少しずつ整えていくという選択

目次

不登校のお子さんとご家族へ

「学校に行けない」
「朝になると体が動かない」
そんな状態が続くと、保護者の方もお子さんも、知らないうちに大きな負担を抱えてしまいます。
不登校は、心や体、そして環境がうまく噛み合わなくなった結果として、誰にでも起こり得る状態です。


不登校の背景にある、見えにくい困りごと

不登校のお子さんの中には、
・自分の気持ちをうまく言葉にできない
・友だちとのやり取りが難しい
・注意されると強く傷ついてしまう
・授業中の指示や説明が理解しづらい
といった、ことばやコミュニケーションの困りごとを抱えている場合があります。

また、
・読む・書くことに強い負担がある
・板書を書き写すのに時間がかかる
・音読やテストで極端に疲れてしまう
など、学習障害(LD)や学習の特性が背景にあり、「分からない」「できない」経験が積み重なった結果、学校に行くこと自体がつらくなってしまうケースも少なくありません。

こうした困りごとは外からは見えにくく、「努力不足」「やる気の問題」「気持ちの問題」と誤解されやすい領域です。
私たちは、行動や反応そのものではなく、その背景にある「伝えにくさ」「分かりにくさ」「助けを求めにくさ」に目を向けることが大切だと考えています。


ことサポが大切にしている支援の考え方

ことサポは、不登校のお子さんを無理に学校へ戻すことを目的としたサービスではありません。
同時に、学校や学びの場そのものを否定する支援でもありません。

大切にしているのは、
・今の状態を否定しないこと
・安心して過ごせる環境を整えること
・本人の気持ちや選択を尊重すること
・小さな「うまくいった経験」を積み重ねること
です。

「困った行動」を減らすことよりも、安心できる行動や関わりが増えていくことを重視しています。
この考え方は、PBS(ポジティブ行動支援)の思想とも重なります。


オンライン言語支援でできること

ことサポでは、国家資格をもつ言語聴覚士(ST)が、お子さん一人ひとりの状態や特性に合わせた支援を行います。

たとえば、
・気持ちを言葉にする練習
・会話の流れや順番を、ゆっくり整理する
・相手との距離感や伝え方を一緒に考える
・「話すのが怖い」「間違えるのが不安」への配慮
・読む・書く・聞く・話す際の負担を減らす工夫

など、学習以前の「安心して人と関われる土台」づくりを大切にしています。
支援では、「一人で頑張ること」だけを目標にするのではなく、分からないときに伝える力、助けを求める力も大切な成長として扱います。


「助けて」と言える力(援助要請)を育てる

不登校のお子さんの中には、困っていても「助けて」と言えず、限界まで我慢してしまう子が少なくありません。
・どう伝えたらいいか分からない
・断られるのが怖い
・迷惑をかけてはいけないと思ってしまう
こうした背景から、援助要請そのものが難しくなっている場合があります。

ことサポでは、
・「分からない」時に相手に伝える練習
・「少し手伝ってほしい」という伝え方
・ジェスチャーや選択肢を使った表現
・助けを求めたときに、安心して応じてもらえる経験
を、段階的に積み重ねていきます。

援助要請は、自立の反対ではありません。
自分を守り、環境とつながるための大切な力です。


家庭でできる、今日からの小さな工夫

不登校の時期は、「何かしてあげなければ」と思うほど、何をすればいいのか分からなくなることがあります。
ここでは、無理なく実践できる関わりをいくつかご紹介します。

話させようとしすぎない

お子さんが話さないときは、無理に言葉を引き出さなくて大丈夫です。
言葉が出ないときは、「考えがない」のではなく、まだ言葉にできる状態ではないことも多いからです。
・「そう思ったんだね」
・「今は話したくないんだね」
と、今の様子や気持ちをそのまま言葉にして返すだけでも、安心感につながります。

質問は答えやすく

「どうしてできないの?」と理由を求める質問は、負担が高くなりやすいため、
・「今の体の感じは、楽/しんどいのどちらに近い?」
・「今の気持ちは、〇か×で言うとどっち?」
・「今は話す・書く・指さすのどれが一番やりやすい?」
といった、選択肢提示型・感覚評価型の問いを用いることで、言語化が難しい状態でも意思表示がしやすくなる場合があります。

できていることを言葉にする

学校に行けていなくても、
・起きられた
・着替えられた
・お手伝いをしてくれた
・少し気持ちを話せた
こうした行動は、どれも大切な一歩です。

「それ、嬉しかったよ」
「教えてくれてありがとう」
と、感謝の言葉を伝えてみてください。

ある不登校のお子さんの保護者の方は、
「今日も子供が生きている。それだけで十分だ」
そう受け止め直せるようになった日から、
親子ともに楽になり、前に進める感覚が生まれたと話してくれました。
これは、「何もしなくていい」という意味ではありません。
今の回復段階に合った関わりを選び直す、という支援の考え方です。


保護者の方へのサポートも大切にしています

不登校の支援では、保護者の方の孤立も大きな課題です。
ことサポでは、
・セッション後のフィードバック
・関わり方の相談
・学校や支援機関との情報整理
・必要に応じた医療機関との連携
など、保護者の方が一人で抱え込まない支援を行っています。


少し元気になったら、次の選択肢を

多くの場合、最初の変化は「安心して話せる」「自分の状態を言葉にできる」といったところから始まります。
学校との関係、学校以外の学びの場、支援機関や医療との連携。
今すぐ答えを出す必要はありません。
「相談できる状態になる」こと自体が、大切な一歩です。


最後に

不登校は「止まっている状態」ではなく、環境や関わり方を見直すためのサインです。
ことサポは、お子さんとご家族が安心して立ち止まり、また動き出す力を少しずつ取り戻していくための場所でありたいと考えています。

「話を聞いてほしい」
「まずは相談だけしてみたい」
そんな気持ちからでも大丈夫です。どうぞお気軽にご相談ください。

ことサポ 支援チーム(言語聴覚士・医師連携)
※本記事は、言語聴覚士(ST)と医師が連携し、支援経験をもとに一般向けにまとめた情報提供です。医療行為や診断を代替するものではありません。お子さんの状況により、必要な支援や連携先は異なります。

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